Story01

袋を開けずに
電子レンジで
調理できる
「レンジTEC」

コンビニエンスストア等の商品として需要が伸びる中、フィルネクストの参入が遅れていたスタンドパック形状のレトルト対応電子レンジ包材。クライアントからの依頼をきっかけに開発プロジェクトがスタートし、営業と技術開発の密な連携の中、他社にない独自技術を盛り込んだ「レンジTEC」が完成しました。

プロジェクトメンバー

技術開発部
樽谷 和馬

独自技術を早期に開発する――難しい課題だけに大きな達成感がありました。

東京支店販売1課
村井 隆行

当社にとって大きな成果であり、私自身にとっても貴重な経験を得たプロジェクトです。

需要増が続くレンジ対応包材の開発に独自技術で挑む

レンジTEC開発プロジェクトの概要とスタートのきっかけを教えてください。

村井2017年頃から、大手コンビニエンスストアを中心に、自立した状態で電子レンジで調理出来る形状の包材を用いた商品が増え始め、世間の注目を浴びたことを契機にレトルト対応電子レンジ包材(以降、レンジ対応包材)の需要が増えていました。

樽谷しかし当時、フィルネクストには同種の包材がなくて、市場参入のチャンスを逃していたのです。

村井そうした状況の中、クライアントである大手パッケージ商社から、同種のレンジ対応包材の開発依頼がありました。

樽谷非常に熱烈なご要望でしたし、当社にとっても重要な市場参入の機会になりますので、ぜひこの開発に挑戦しようと。

村井特許を含む開発要件だったため、正直、最初は戸惑いましたけど、当社のナレッジにもなると思い引き受けました。自分で言うのもなんですが、フィルネクストの柔軟な対応力に期待頂いてのことだと思います。

プロジェクト立ち上げ当初の印象的なエピソードがあれば教えてください。

村井実はクライアントから依頼があったとき、技術開発部へ相談するのに気が引けていました。全くの新アイディア、新技術であればモチベーション高く取り組んでもらえますが、すでに他社が参入している包材なので、開発者に対して失礼ではと思ったからです。

樽谷いやいや、そんな気遣いはいりませんよ。日頃から村井さんが我々開発側にも気を遣ってくれていることは分かっていましたし。

村井はい、確かにその懸念はすぐに無くなりました。当時の技術開発部係長も樽谷さんも快く引き受けてくれ、オリエンテーションにも同行頂きました。

樽谷村井さんがせっかくつかんできた案件ですし、何よりレンジ対応包材の分野は当時急成長していて、技術開発としてもぜひ挑戦したいと前向きに依頼を受けました。技術面で将来的にフィルネクストにとって重要なプロジェクトになると思いましたしね。

過去の開発でNGとなった経験までをフルに活用

開発における課題をどう解決していったのでしょうか?

村井他社がすでに取得していた特許があり、それに抵触せず、かつ当社としての特許取得を考える必要がありました。また、後発であったため他社品と同等の品質とコストメリットも出さなければなりませんでした。

樽谷クライアントからは短期間での成果を求められましたので、早期完成を目指しつつ独自技術を開発するのは、なかなか困難でした。当社で実績のあった技術はもちろん過去の開発案件でNGとなった際に得た経験まで、これまで培ったレンジ対応包材の知見をフル活用して開発を進めていきました。

村井技術開発部だけでなく、資材部にも相談し、各材料メーカーへ協力をあおぐなどの連携も重要でした。

樽谷開発面で特にこだわったのは蒸気口の形です。他社が展開している機構ではレトルト処理、つまり高温、高圧下の調理や、輸送中の衝撃など、外部からの応力によってダメージを受けやすいという課題があり、そこに我々独自の特長を出すことにしました。

村井特に蒸気口はその名のとおり蒸気を排出するためダメージを受けやすい。その形状を工夫して、ダメージを分散させる仕様にしたわけですね。

樽谷また、レンジ対応包材は、袋の特性上、設計ミスによって大きな事故につながる可能性があります。安全面からも、完成までに数百袋のサンプルを電子レンジにかけて評価しました。始業から終業まで、電子レンジの前から動かない日が続きましたが、何とか期日内に目標数の評価を終わらせることができ、2019年6月に特許取得、その後も、実際の中身を入れた状態での評価などを行い、2020年3月に初採用に至りました。

市場のニーズ、トレンドを捉え、今後も新たな商品の開発を

プロジェクトを通して得られたご自身の成果を聞かせてください。

村井きっかけはクライアントからの依頼ではありましたが、特許技術を含む自社製品開発に関われたこと自体が大きな成果だと思います。

樽谷入社4年目で新規開発プロジェクトに最初から最後まで関われ、開発に必要な考え方や進め方など仕事への向き合い方の根幹を、本プロジェクトを通して得られたと思います。

村井私も、普段の営業活動では得にくい貴重な経験ができたと思いますし、このプロジェクトがあったから知識や提案の幅を広げられたと思います。また、レンジ対応包材という主流の商品でしたので、幅広い営業活動の販促につながるプロジェクトに携わったという達成感がありました。

新製品や新機能開発に向けての今後の展望を教えてください。

村井クライアントがコンビニエンスストアの取扱商品の商社でもあることから他社品の新機能などを知る機会も多いため、そうした情報をしっかりつかんでいきたいです。

樽谷特にレンジ対応包材は、これからは今まで以上に新規性、かつ高付加価値が求められていくと思います。市場に受け入れられるためには、新規性に加えユーザーのニーズを正確にとらえることも重要です。

村井そこは私たち営業の役割も重要だと思います。ニーズやトレンドなどは、クライアントや販売の現場に近い私たちがキャッチアップする必要がありますね。

樽谷村井さんは本当に接しやすいので、クライアントの状況や営業マンとしての意見など、なんでも質問しやすかったですよ。

村井クライアントへの報告会にも頻繁に同行してもらい、樽谷さん含め、技術開発部は本当に頼りになると改めて感じました。

樽谷これからも、営業部と密に連携を取りながら、新規商品の開発に挑戦していきたいです。

村井私も、クライアントの要望の対応や提案活動に一層取り組み、付加価値のある商品の受注に努めていきたいと思っています。